疲れた胃腸を癒し疲労を回復させる間性食材『トマト』について知る。/食材辞典
『トマトが赤くなると医者が青くなる』『トマトのある家に胃腸病なし』といわれるほど栄養価の高いとまと。食欲増進、消化促進、疲労回復。さらに美しい肌を保ちます。大きなものから小さなものまで、色どり豊富で日本だけでも300種類を超えるといわれ、最も身近な野菜のひとつです。
基本情報
- 和名:トマト、赤茄子
- 英名:tomato
- 科目:ナス科
- 属名:ナス属
- 原産地:アンデスの高原地帯
- 陰陽区分:陰性食品
- 五味:甘味
トマトの特徴
東洋医学の観点では、トマトは体を冷やす『陰性食材』に分類されます。
身体が冷えた状態である「陰」に偏っている場合、生の状態で極端に食べ過ぎると代謝が悪くなり、体内の老廃物が排出されにくくなってしまう恐れがありますが、
暑い地域で育ち、水分量が多く、カリウムを多く含んだ「陰性食材」であるトマトは、体の余分な熱をとる事で体温を下げてくれる作用があるため、暑い時期にはちょうど良い食材といえます。
さらに、胃腸の状態を整え、消化を促し食欲や体力を回復させ、新陳代謝を緩やかにしてカロリーの消費を抑えてくれる効果も期待できます。
前述の通り、体を冷やす陰性食材なので、冷え性など陰性体質の方、寒い冬場に摂る場合は火を通してから食べると良いでしょう。
また、トマトのように赤い食べ物は、循環器系統に良く、体に水分を補給し、血液を補い浄化する為、貧血の傾向にある方に良く、
「甘味」の要素を持っている為、身体に栄養を与え、緊張を和らげるという特徴もあります。
薬膳の観点では、トマトのように体の熱を取る食材は、小松菜やアスパラガス、胡麻などの潤いを補う食材と一緒に摂るのが良いとされています。
トマトの旬
トマトが美味しくなるのは春から初夏にかけてといわれています。
一般的にトマトといえば夏野菜なので、旬は夏と思われがちですが、実は本来トマトは暑さに強くはなく、昼と夜の温度差が大きく、冷涼で強い日差しを好む野菜です。
しかし、日本の四季の中で一番日差しの強い夏に、太陽の恵みをたくさん受けて育つトマトはやはり夏に食べると身体に良い効果を与えてくれます。
夏は暑さによって、中枢神経、自律神経系の興奮が起こりやすく、夜に寝付けずに不眠症を起こしたり、神経症になりやすい為、体内の余分な熱をとってくれて、頭にのぼった気に沈静をもたらしてくれるトマトはありがたい存在です。
特に体に熱がこもりやすい『陽性体質』の人はトマトを生のまま食べれば暑さによってのぼせた状態を改善してくれて熱中症対策にもなります。
トマトの効能
- のどの渇きを潤し体液を補い、体の余分な熱を冷ますとされています。
- 胃酸分泌を促し消化を助ける効果が期待できます。
- 食欲増進の効果が期待できます。
- 疲労を回復し免疫力の強化、がんの予防に有効とされています。
- 美肌効果が期待でき、美しい肌を保つのに有効とされています。
- 血液の浄化に役立ちます。
- 高血圧・脳出血の予防、がん予防に効果が期待できます。
美味しいトマトの選び方
- ヘタがきれいで傷がなく、ずっしりと重さがあるもの。また、先端の部分に放射線状に筋が出ているものは甘くて新鮮な証拠です。
- とまとは真っ赤に熟しているものほど栄養価が高く味が良いです。皮の色にムラがなくツヤとハリのあるものを選びましょう。
- 全体の色にムラがなく、均一でずっしりと重みの感じるものを選びます。
- 果肉がしっかりとしており、硬いものがおすすめです。
トマトの湯剥きの方法
口当たりを良くするため、トマトの皮を剥いて料理する場合があり、その皮を剥くために『湯むき』という作業をします。
トマトの上の部分に包丁で十字の切り込みを入れ、お湯を沸騰させた鍋に切り込みを入れたトマトを静かに入れます。
20~30秒ほどして切り込みを入れた部分の皮が弾けてきたら、冷水に入れ、手で皮を剥きます。
この湯むきの作業のことを、洋食の調理専門用語で『エモンデ』といいます。
ちなみに桃の皮を剥くときにもこの方法で剥くことができます。
もう一つ直火にかけて剥く方法があります。
エモンデと同じように、トマトに十字の切れ目を入れ、ヘタの部分にフォークを刺し、トマトを回しながら満遍なく直火にかけます。
多少黒く焦げても問題ありません。
皮が弾けてきたら冷水にとり、皮を剥きます。
トマト調理のポイント
- 熱を加えると、トマト独特の青臭さが蒸発してあまり気にならなくなりす。
- 加熱調理したトマトの方が生のトマトよりも主要な栄養素であるリコピンの吸収率が高くなり、またオリーブオイルなど油やチーズなどと一緒に摂ってもリコピンの吸収率は高まります。
- トマトとモロヘイヤに含まれるβ-カロテンとビタミンCの相乗効果で免疫力がアップします。
- 茄子のアントシアニンには高い抗酸化力があり、トマトと一緒に摂るとアンチエイジング効果が期待できます。
- トマトを肉料理と一緒に煮込むと、脂肪分が抑えられます。
- 魚料理に使用すると、魚の臭みを消してくれます。
陰陽おすすめトマトのレシピ
陰性体質の人におすすめのレシピ
[鶏肉と小松菜のトマト煮]
材料(2人分)
鶏もも肉・・・・・・・・・2枚
小松菜 ・・・・・・・・・1束
玉ねぎ・・・・・・・・・・半分
しめじ・・・・・・・・・・1パック
にんにく・・・・・・・・・ 1かけ
カットトマト(缶詰)・・・ 1缶
塩、こしょう ・・・・・・・適量
小麦粉・・・・・・・・・・ 適量
オリーブオイル・・・・・・ 適量
チキンコンソメの素・・・・ キューブ1つ
ローリエ・・・・・・・・・ 1枚
下ごしらえ
- 鶏もも肉は、余分な脂を落として一口大にカット。
- 小松菜は一口大にカット。
- 玉ねぎはスライス。
- しめじはほぐす。
- にんにくはスライス。
作り方
- 鶏もも肉に塩・胡椒をして小麦粉をまぶす。
- フライパンにオリーブオイルを入れ、弱火にかけてにんにくを入れ焦がさないように香りが立つまで炒めたら一旦にんにくを取り出す。
- 鶏肉を皮の方から入れ、パリッと焼き目がつくまで中火で焼く。鶏肉を裏返して軽く焼き色がついたらフライパンから取り出す。
- 同じフライパンで玉ねぎ、しめじを軽く炒め塩、胡椒する。
- 鶏肉とにんにくを戻し、カットトマト、チキンコンソメの素、ローリエを加え一煮立ちさせ、蓋をして弱火で10分ほど煮込む。
- 小松菜を加えさらに2~3分火にかける。
- 鶏肉を取り出して皿に盛り、塩・胡椒でソースの味を整え、決まったら鶏肉の上からかけて出来上がり。
陽性体質の人におすすめのレシピ
[トマトとシソのサラダ]
材料(1人分)
トマト・・・・・・1個
大葉・・・・・・・2枚
玉ねぎみじん・・・1/4個
(A)ドレッシング
酢・・・・・・・・ 小さじ1
醤油・・・・・・・ 小さじ1
塩、胡椒・・・・・適量
オリーブオイル・・大さじ1
下ごしらえ
- トマトは8等分のくし切りにし、さらに半分に切る。
- 玉ねぎはみじん切りにして、水にさらして、ザルにあけておく。
作り方
- トマトと玉ねぎ、手でちぎった大葉を混ぜ合わせる。
- (A)を混ぜ合わせて①と混ぜて出来上がり。
トマトの保存方法
常温保存の場合
トマトは低温障害を起こすので、冷やし過ぎに注意が必要です。低温障害を起こすと実がブヨブヨになり味も風味も落ちます。また、14℃以下の冷暗所なら4~5日ほど保存が可能です。
まだ青く完熟していないトマトは低温では追熟しないので15~25℃の冷暗所の常温で追熟させます。
2週間ほど保存可能です。
冷蔵保存の場合
トマトは外部からの衝撃に弱く、トマト同士がくっつくとその部分から傷んでくるのでペーパータオルなどで1個づつ包んでヘタを下にしてポリ袋にれ、冷蔵庫の野菜室で保存します。
2週間ほど保存可能です。
冷凍保存の場合
トマトのヘタを取り、生のまま丸ごと冷凍用保存袋に入れ、冷凍庫で保存します。使用するときは凍ったまま水に晒すと簡単に皮が剥けるのでそのまま使用できます。凍らせた場合、生で食べるより一度加熱してから使うのがおすすめです。
1ヶ月ほど保存可能です。