自然治癒力を高め、自然と調和する。『東洋医学』について知る!
2,000年以上前に中国大陸で誕生し中国の「中医学」、韓国の「韓医学」インドの『アーユル・ヴェーダ」、日本では「漢方」、これらを総称して『東洋医学』と呼ばれます。長い歴史の中でそして生活習慣の中で進化し続けてきた『東洋医学』を学びます。
東洋医学とは
東洋医学とは『人体と自然は一体であり、身体も季節と共に変化する』という考え方であり、季節と身体を調和させ、「自然治癒力」を向上し、「新陳代謝」を高めるのが目的です。
風邪をひいて熱が出たとき、安静にして休んでいたら熱がひき、体が楽になったり、手にすり傷を負っても数日で治ったりしたという経験があると思います。
これは、人間が本来持っている、身体を「健康な状態に戻そう」とする『自然治癒力』が働いたためです。
体内にある悪いものや不要なものを排出し、新しいものに入れ替えることを『新陳代謝』と言います。
この新陳代謝が正しく行われれば、悪いものや不要なものは残らず、常に体を健康な状態に保つことができます。
腰や膝あるいは心臓や胃腸など悪い部分のみを治療するのではなく、新陳代謝を促し、身体を治そうとする自然治癒力の働きを助けるというのが東洋医学の目的です。
東洋医学の歴史
今から2,000年以上も前に中国大陸で、東洋医学の基礎となる医学が誕生しました。
『世界の三大伝統医学』と言われる
インドの「アーユルヴェーダ医学」
アラビアの「ユナニー医学」
中国の「中医学」
もその中のひとつです。
他にも、韓国の「韓医学」、チベットの「チベット医学」、そして日本の「漢方」などがあります。
これらの医学はそれぞれの文化や歴史、風土などを背景に進化してきました。
ちなみに「東洋」とは中国語では東アジアを意味する場合もありますが、多くは「日本」を指します。日本語で「東洋」といえばアジアのイメージですが、中国語では「日本限定」を意味するとされています。
よってここでは、日本独自に発展してきた「漢方」を「東洋医学」と定義してお話を進めます。
5~6世紀ごろ、東洋医学の基礎となる考え方は中国からもたらされました。
その後、日本独自の進化を遂げていきます。
そして室町時代には漢方、鍼灸などの治療が行われていましたが、明治時代に入った1883年(明治16年)西洋医学を学んだものだけに医師の資格が与えられるようになり、東洋医学の影が薄くなっていきます。
しかし、明治時代の末になって再び東洋医学が見直されるようになり、現代では今後に期待が持てる医学として注目を集めています。
西洋医学と東洋医学
西洋医学と東洋医学はどのような違いがあるのでしょうか?
大まかに言って、西洋医学は「病気そのものを取り除く」という治療法に対して東洋医学は「体全体のバランスを整える」と言うことができると思います。
別の言い方をすれば、「治療する」西洋医学に対し「予防する」東洋医学と言っても良いと思います。
東洋医学とは『自然治癒力』を高める医学で、
自然や季節と体を調和させ、自然治癒力を高め、体のバランスを整え、不調の予防につなげる。
一方、西洋医学では、『治療』を目的とし、
人体を心臓、消化器、循環器など各部位ごとに分割し、腫瘍や病原菌、ウィルスなどを特定し治療します。
手術が必要な病気などに効果的です。
西洋医学、東洋医学双方の利点を活かすため、両者の”直接的な治療”と”全身を整える治療”の融合が理想なのではないかと考えます。
東洋医学の治療法
「証(しょう)」。「外邪(がいじゃ)と「正気(せいき)
東洋医学の治療は、一つひとつの臓器や器官など体の各パーツの不調を整えるのではなく、身体全体のバランスを整えます。
治療に際して「証」を知り、それに則した治療法を選択します。
人が病気になったとき、その病気の原因を「邪気」。
外からきた邪気を「外邪」と言います。
そして体内には「外邪」から体を守ろうと戦う力「正気」があり、この体内で行われている「外邪」と「正気」の戦いの状況を把握すること、つまり病気の本質を読み取ることを「証」と言います。
患者の体質、症状、病状などさまざまなことを考慮して「証」という病気の本質を知り、それに対応した治療方法を選択することを「証を立てる」と言います。
「証を立てる」4つの方法
問診(もんしん)
患者から症状や自覚していることを聞き取ります。
発病した時期とその時の状況、生活習慣や生活環境、これまでの病歴などを聞き取り、さらにめまいがないか、睡眠はとれているかなど患者さんから直接症状を聞き取ります。
望診(ぼうしん)
患者を目で見て状態を判断します。
体型、姿勢、表情、肌の状態、顔色、体の動かし方など外見からの情報を集めます。
望診のひとつに「舌診(ぜつしん)」があります。
その名のとおり舌の状態を診ることで、患者さんのおおよその状態がわかります。
聞診(ぶんしん)
音やにおいによって患者の状態を判断します。
声、呼吸の音、咳やくしゃみ、体臭や口臭など視覚や聴覚から情報を集めます。東洋医学では発せられる声の状態から肺やのど、胸、鼻など器官の状態を把握します。
切診(せっしん)
患者に触れて診察する方法で、「脈診(みゃくしん)」と「腹診(ふくしん)」があります。
脈診は脈拍の強さなど脈の状態を診て診断します。
腹心は患者の腹部を押し、お腹の張りや硬さ、痛む場所などを診ます。
以上の4つの「証」の立て方を「四診(ししん)」と呼びます。
まとめ
なんとなく体がだるい、元気が出ない。病院に行くほどではないが、今ひとつ調子が悪い。
そんな時、東洋医学の知識が少しでもあれば対処できるかもしれません。
人間は自然の一部であり一体である。
自分の体と対話をし、自分の体の状態について一度見直してみるのはいかがでしょうか。