脇役ではない!美容と健康のためには主役として摂りたい食材。キャベツについて知る/食材辞典
ヨーロッパでは『貧乏人の医者』といわれるキャベツ。医聖ヒポクラテスは「腹痛と赤痢の特効薬」としたとされ、胃腸に効くだけではなく美肌効果、肌トラブルの解消。潰瘍や風邪、がんの予防、疲労回復、イライラの解消やストレスの緩和など淡色野菜の中では最もミネラルやビタミンを含んでいます。
基本情報
- 和名:甘藍、玉菜
- 英名:Cabbage
- 科目:アブラナ科
- 属名:アブラナ属
- 原産地:地中海沿岸
- 陰陽区分:間性食品
- 五味:甘味
キャベツの特徴
陰陽論の視点から見ると、キャベツは体を温めも、冷やしもしない『間性食材』に分けられます。
一年中安定した温帯気候で育ったキャベツは水分量が多く、生で摂りすぎると体を冷やす可能性があります。東洋医学では『冷えは万病の元』と言われ病気のサインと捉えます。特に冷え性の人は生で食べるより、塩を振って食べたり、味噌汁に入れて食べるなど陽性の食材と一緒に食べると、体の冷やし過ぎを防げます。
薬膳での『甘味』の性質を持つキャベツは、滋養・強壮に効き、胃粘膜の傷を再生し、胃酸の過剰な分泌を抑える働きがあります。また、虚弱を補って疲れを回復させたり、痛みを和らげるという効果もあります。
体内の水分が滞って巡りが悪くなり、浮腫みや頭痛、めまいなどの症状がある『水滞』の人は胃腸が弱く、体が冷える傾向にあるので、スープなど熱を加えたキャベツを食べると、陽性の性質が高まり、体を温め、胃腸の働きを整えてくれます。
また、キャベツのように白色の食材は便秘や肌のトラブルなど、乾燥から守ってくれる働きがあるとされます。
体を中庸の状態に整えるキャベツは『陰性体質』『陽性体質』どちらの人も積極的に摂りたい食材です。
キャベツの旬
キャベツの美味しい季節、旬と呼ばれる時期は1年に3回あります。
3~5月に旬を迎える『春キャベツ』
7~10月が旬の『夏秋キャベツ』
そして11~3月が食べごろとなる『冬キャベツ』です。
3月から5月にかけてのこの季節は、陰から陽に移り変わる時でもあり、また、肺や肝が弱まる時期でもあるので、陰陽のバランスや五臓を補い、気の巡りを良くして、身体を中庸の状態に整えてくれる春キャベツは是非摂りたい食材です。
暑気が強まってくる7月から気温が下がり始める10月までのこの時期は、消化不良や胃腸のトラブル、肌荒れなどの不調や肺が弱まったりストレスを感じる時期でもあります。甘味の要素を持つこの季節のキャベツは気・血・水の不足や虚弱をを補い、疲れを改善してくれます。
11月から3月にかけてのこの時期は、気温の差や乾燥で、のどや目の粘膜が弱り、体外から病原菌などが侵入し、体調を崩し風邪などをひきやすい時期です。この季節に出回る冬キャベツには不要なものを体外へ排出するデトックス効果が期待できます。
体がエネルギーを必要とする春や、湿気で胃腸に負担がかかる梅雨の時期、残暑で体力を消耗している立秋から秋分にかけて、季節ごとに旬を迎えるキャベツの効能をいただき、体を中庸の状態に近づけることが健康を維持することにつながります。
キャベツの効能
- 胃の粘膜の修復を促します。
- がんの予防に役立ちます。
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防や治療の効果に期待できます。
- 消化の促進、風邪予防、疲労回復、美肌効果、便秘の解消、貧血の改善、ストレス緩和、免疫力の強化など、さまざまな効果が期待できます。
- 止血や痛み止めの薬効があるとされています。
- 肝機能の強化に役立ちます。
- 胃腸や呼吸器を浄化する作用があります。
- 腎機能の働きを助け、不要な水分を体外へ排出します。
- アレルギー症状を抑制する効果が期待できます。
キャベツの美味しい選び方
- 春キャベツは巻きが柔らかく、ふんわりと弾力のあるもの。
- 冬キャベツは巻きが硬く、ずっしりと重く感じるもの。
- 外側の葉がはっきりとしており鮮やかな緑色で、ハリやツヤのあるもの。
- 芯の大きさが500円玉くらいで、切り口がみずみずしく、変色や割れていないもの。
キャベツの扱い方
- キャベツの芯の部分に包丁を入れ、一枚ずつ葉を外します。
- 外側の部分は葉が厚めで、硬いのでざく切りにして炒め物などに使います。
- 芯の部分も削ぎ落として薄く切って使います。
- 内側の葉は、外側に比べ柔らかいので炒め物や、一度軽く茹でてから使うロールキャベツなどに向いています。
- 一番中心の部分にある葉は柔らかく、甘みがあるので、サラダや漬物、スープなどに使うと甘さが引き立ちます。
- 芯の部分は硬いですが、甘みがあり、栄養も豊富です。捨てずに薄切りにしたり細かく刻んで味噌汁やスープ、炒め物に使うのがおすすめです。
キャベツ調理のポイント
- 芯の部分にもビタミンCが豊富に含まれているので無駄なく使いたい食材です。
- キャベツと人参を一緒に摂ると、ビタミンCとβ-カロテンの相乗効果で、美肌効果が期待できます。
- ビタミンCやビタミンUは水に溶けやすく、加熱すると減少するため、スープやポトフにするなど汁ごと食べるのがベストです。
- 胃腸の弱い人は生で食べるよりも加熱して食べる方が胃壁を痛めません。
- トンカツに添えられているキャベツの千切りは、胃もたれを抑え、消化を助けて脂肪を燃焼してくれるので先に食べると良いとされています。
- 陰性体質の人は、そのまま生で食べると体を冷やす可能性があるので、加熱してから食べると良いです。
- 反対に陽性体質の人は、サラダなど生で食べたり、陽性食材であるハンバーグやステーキなどの付け合わせにすることで、肉の陽性度が低くなります。
- キャベツをシャキッとした状態に切りたい場合は、葉の繊維にそって平行に切ると水にさらした時によりシャキッとします。
- 食感を柔らかくしたい場合は、葉の繊維に垂直に断ち切るように切ります。
- 回鍋肉など炒め物に使う場合は、油を少し入れたお湯にキャベツを軽く湯通ししてから強火で炒めると水分が出てベチャッとならずに仕上がります。
おすすめ陰陽キャベツのレシピ
陰性体質の人におすすめのレシピ
[鮭とキャベツのちゃんちゃん風焼き]
材料(2人分)
キャベツ・・・・・1/4個
ブロッコリー・・・1/2個
人参・・・・・・・1/2本
玉ねぎ・・・・・・1/2個
まいたけ・・・・・1パック
鮭・・・・・・・・2切れ
バター・・・・・・大さじ2
【A】
味噌・・・・・・・大さじふと1/2
酒・・・・・・・・大さじ2
ハチミツ・・・・・大さじ1
みりん・・・・・・大さじ1/2
下ごしらえ
- キャベツはざく切り
- 玉ねぎは1cm幅のスライス
- ブロッコリーは小房に分け、茹でてザルにあける。
- 人参は短冊切り
- まいたけはほぐす
作り方
- フライパンにバターを入れ、鮭を焼き色が付くまで中火で焼き、ひっくり返して片面も同様に焼いて取り出しておく。
- 同じフライパンにキャベツ、玉ねぎ、人参、まいたけ、ブロッコリーを入れ、軽く炒める。
- ①の鮭を戻し、【A】を回し入れて蓋をして中火で7分ほど蒸し焼きにする。
- 火が通ったら、器に盛って出来上がり。
陽性体質の人におすすめのレシピ
[キャベツとサバ缶の塩昆布和え]
材料(2人分)
キャベツ・・・・・1/8個
サバ水煮缶・・・・1缶
インゲン・・・・・4本
長芋・・・・・・・80g
塩昆布・・・・・・25g
ミニトマト・・・・2個
松の実・・・・・・適量
白すりごま・・・・大さじ1
塩・・・・・・・・少々
酢・・・・・・・・大さじ2
オリーブオイル・・適量
胡椒・・・・・・・適量
下ごしらえ
- キャベツは太めの千切り。
- サバ缶は汁気をきって粗めにほぐす。
- 長芋は拍子切り。
- ミニトマトは1/4にカット。
- インゲンは根の部分を切り落とす。
作り方
- キャベツを塩揉みして5分ほどおく。
- インゲンを茹でて水にさらして斜め半分にカットする。
- サバ缶と②のインゲン、塩昆布、酢、レモン汁を混ぜ合わせる。
- ③にすりごまと①のキャベツを絞ってり加える。
- 松の実、ミニトマト、オリーブオイル、胡椒を加えてよく和えて出来上がり。
キャベツの保存方法
冷蔵庫保存の場合
- そのまま保存するには、包丁などでキャベツの芯をくり抜き、湿らせたキッチンペーパーを詰め丸ごと新聞紙に包んで冷蔵庫で保存します。
- 2週間ほど保存可能です。
- カットしたものは、断面から変色し傷みが早くなるので切り口が空気に触れないようにキッチンペーパーかラップで覆い、新聞紙に包んで冷蔵で保存します。
- 1週間ほど保存可能です。
冷凍庫保存の場合
- 千切りやざく切りなど使いやすいようにカットしてそのまま冷凍用保存袋に入れて冷凍庫に保存します。
- 1カ月ほど保存可能です。