美肌 高血圧 貧血 老化防止に効果あり!内臓を温める陽性食材、人参について知る。/食材事典
人参の綺麗な『濃いオレンジ色』はカロテンの色素。万病のもとである『活性酸素』を除去し、がんの予防、血圧降下、美肌などに効果が期待できます。内臓を温め血を補う。さらに人間が生きるために必要な栄養素がほとんど含まれている優秀な食材です。
基本情報
- 和名:人参
- 英名:Carrot
- 科目:セリ科
- 属名:ニンジン属
- 分類:多年草
- 原産地:アフガニスタン
- 陰陽区分:陽性食材
- 五味:甘味
人参の特徴
東洋医学では、人参は体を温める『陽性食材』に分類されます。
血液を増やし内臓を温めて潤す効果があるとされ、人間が生きていく上で必要な栄養素が全て含まれています。
基礎体力がなく、つねに体のどこかに不調を持っている虚弱な『陰性体質』の人は毎日でも食べたい食材です。
また、カリウムは塩分量をコントロールする作用があり、体内の余分な水分を汗や尿として排出してくれるため、血圧の高い人や夕方に足が浮腫んだりする人にはうれしい食材です。
中医学から見て『甘味』の要素を持っている人参は、消化器関連、胃や口に効くとされ、血の不足による虚弱を補って疲れを改善し、体力を補い、体を温め、滋養強壮に効果を発揮し、血行不良や消化器系の働きが悪く、栄養を効率的に吸収できない『冷え体質』の人におすすめです。
赤色の食材に分類される人参は、血液を増やし循環させ浄化する作用で、精神活動の働きを促進します。体内に血液がたっぷりあると精神も穏やかに落ち着くと言われています。
人参の旬
人参の旬は、だいたい9~12月で、秋の終わりから初冬にかけての寒い時期、寒さに耐え、自身を守るために糖を蓄え甘味のある人参に育つと言われています。
ですので、人参はこの時期が一番美味しくなります。
人参には、血を増やす働きがあり、血が不足する『血虚』の状態になると、各組織に栄養を送れなくなり、中でも頭部の栄養が不足し、めまいや立ちくらみが起こり、不安感や不眠の症状が現れます。
血虚は秋口に起こりやすいとされ、まさにこの時期に育った人参は血虚の改善に最適の食材といえます。
陰の気が満ちる冬は、春に備えて体力を蓄える温存の季節。寒い時期に育った人参は、体を温める陽性の性質を持っており、冬の寒さに冷えた体に、人参を食べるのは理に適っています。
人参の効能
- 胃や脾臓の働きを活性化し体を温めて潤し、栄養を巡らせ血を補う効果があるとされています。
- 貧血や冷え性、病後の回復などに効果があります。
- 虚弱体質、食欲不振、消化不良を改善します。
- 眼精疲労、視力低下、ドライアイなどの症状の改善に役立ちます。
- 免疫力を高め、感染症やがんの予防に効果が期待されます。
- 肌荒れを予防し、爪や髪をきれいに保ちます。
- 体内の有害な物質を排出し、血圧降下の作用があります。
- あらゆる病気のもとと言われる活性酸素を除去する働きがあります。
美味しい人参の選び方
- 茎の切り口が茶色や黒っぽくなっているものは、日にちが経っているので甘みが落ちています。
- 茎の切り口が細いほうが繊維質が少なくやわらかくて味が良いとされています。
- できるだけ葉付きのものを。葉がいきいきとして緑色のものは新鮮と考えて良いでしょう。ただし付けたままにしておくと、葉に栄養を奪われるので、購入したらすぐに切り落とします。
- 全体的に丸みがあり、しっぽが細くないもの。表面がつるつるとしてツヤがあり色の濃いものを。色が濃いほどカロテンが多く含まれています。
- 表面にヒゲのないもの。ヒゲがあるものはまだ食べ頃ではありません。
人参の扱い方
- 皮を剥くときはピーラーを使い、ヘタの方から上から下へ縦方向に動かします。このとき、人参もピーラーとは逆に下から上方向に手首を効かせて動かすと、しっぽの部分の剥き残しがなくきれいに向けます。
- 西洋料理では、セロリやパセリの軸、玉ねぎなどと一緒に香味野菜として、ブイヨン(鶏ガラなどでとっただし汁)やフュメ・ド・ポワッソン(魚のだし汁)、ブイヨン・ド・レギュ-ム(野菜のだし汁)などを摂るのに使われます。
- 人参は炒める、焼く、蒸す、煮る、生でなどさまざまな調理法で幅広く使える野菜です。
人参調理のポイント
- 人参など根菜類を茹でるときは、水から茹でるのが基本です。
- 人参の繊維は、ヘタの方から尻尾の方に縦に流れているので、細切りや千切り、短冊切り、くし切りなどのように繊維に沿って平行に切ると、食感が残り歯応えのある仕上がりになります。
- 輪切りや半月切りは繊維を断ち切るように垂直に切るので出来上がりが柔らかな食感になります。また、乱切りは切った断面が多く火が通りにくいですが、味が入りやすく、じっくりと火を通すと柔らかくいただけます。
- 人参の皮には、β-カロテンのほとんどが含まれているので、調理する時は極力皮を剥かずに扱うのが良いです。また、カロテンは脂溶性ビタミンで油に溶けやすく水に溶けにくい性質があります。そのためカロテンが油に溶けると体内への吸収率がアップするので油を使って炒めたり揚げたりする調理法がおすすめです。
- 人参は体を温める食材なので、陰性体質の人はサラダに煮物に毎日でも食べたい食材です。
- 逆に陽性体質の人は、人参と間性食材のりんごをジューサーにかけ、陽性の性質を弱めたジュースにして飲むと体の火照りを抑えることができます。
- 『春夏人参』は水分が多くみずみずしくてやわらかいのが特徴で、サラダなど生食に向いています。
- 一方で『冬人参』は甘味が強く、果肉がしっかりしていて煮崩れしにくいので煮物などの加熱調理に向いています。
- キャベツなどビタミンCが豊富に含まれる食材と一緒に食べると抗酸化作用がアップし、老化防止に役立ちます。
- 人参のβ-カロテンと鶏肉のタンパク質を一緒に摂ると肌の健康を保ち、美肌効果が期待できます。
おすすめ陰陽人参のレシピ
陰性体質の人におすすめのレシピ
[人参のポタージュ]
材料(2人分)
人参・・・・・・・・・1本
じゃがいも・・・・・・小1個
玉ねぎ・・・・・・・・半分
水・・・・・・・・・・250cc
牛乳・・・・・・・・・250cc
生クリーム・・・・・・50cc
塩・胡椒・・・・・・・適量
バター・・・・・・・・10g
下ごしらえ
- 人参は、半分に切ってスライス。
- じゃがいもは、皮を剥いて、4等分して3mm厚さにカット。
- 玉ねぎは、繊維を断ち切るように薄切り。
作り方
- 鍋にバターを熱し、玉ねぎを中火で炒める。
- 人参とじゃがいもを加え、さらに炒める。
- じゃがいもがなんとなく透きとおってきたら水と牛乳を加え、沸騰したら弱火にして10分ほど煮る。
- 野菜に火が通ったら、火を止めて、少し置いて粗熱をとる。
- 粗熱が取れたら、ミキサーで撹拌する。
- 鍋に戻して、焦げ付かないように混ぜながら温める。
- 生クリームと塩・胡椒で味を整えて出来上がり。
陽性体質の人におすすめのレシピ
[人参ともやしのナムル]
材料(2人分)
人参・・・・・1本
もやし・・・・1袋
ごま油・・・・少々
塩・・・・・・少々
味の素・・・・少々
下ごしらえ
- 人参は千切りにする
作り方
- 人参ともやしを、サッと茹でて水にさらし、水気をきる。
- ①をボールに入れて、ごま油、塩、味の素を加えて混ぜて出来上がり。
人参の保存方法
常温保存の場合
- 人参は冬場などの涼しい時期ならペーパータオルなどで包み、風通しの良い所に置いておけば1週間ほど保存できます。
冷蔵保存の場合
- お店から買ってきたら水気を拭き取り、ペーパータオルなどで一本づつ包み、ポリ袋に入れ野菜室で保存。これで概ね2週間ほど保存可能です。また、カットした人参の場合は乾燥しないようにラップでしっかりと包んで保存します。
- 5〜7日間保存できます。
冷凍保存の場合
- あらかじめ千切りや拍子切り、いちょう切り、スライスなど薄めにカットし、冷凍用保存袋に入れて保存します。使用する時は、凍ったまま手でポキポキと折って使う分だけ出して使います。
- 乱切りなど、ある程度大きさのあるものはカットしてから、かために茹でて冷ましてから冷凍するのがおすすめ。
- 冷凍保存の場合は約3~4週間の保存が可能です。