『美肌のビタミン』と呼ばれるビタミンCが豊富で胃腸の消化を助ける『食べる胃腸薬』大根について知る/食材辞典
『春の七草』のスズシロとは大根のこと。消化を助け、消化酵素が胃腸をスッキリと整えてくれるので食べ過ぎた時は生の大根を食べるのがおすすめです。また、大根は食中毒を防ぐ作用があるため『当たらない』転じて売れない役者を『大根役者』と呼ぶようになりました。
基本情報
- 和名:ダイコン
- 英名:Daikon / Japanese radish / Mooli
- 科目:アブラナ科
- 属名:ダイコン属
- 原産地:地中海、中央アジア
- 陰陽区分:間性食品
- 五味:辛味
大根の特徴
根の部分は淡色野菜で間性、葉の部分は陰性で緑黄色野菜に分類されます。
東洋医学では、体を冷やしもせず、温めもしない『間性食材』に属し、人間の身体をどちらにも偏らない『中庸』の状態に整えてくれるので、陰性体質の人も陽性体質の人も積極的に摂りたい食材です。
中医学では『辛味』の要素を持っている大根は、体を温めて冷えを改善する働きがあるほか、体外から侵入した『外邪』を排出し、気や血の巡りを促進して血行不良や筋肉のこりを改善します。
また、大根のように白い食べものは、呼吸器系の機能をサポートし、粘膜を強化して体の水分を増やし、内側から潤してくれるので、乾燥による咳や肌荒れ、便秘やかゆみなどの改善にも効果があります。
大根は、『食べる胃腸薬』と言われ、水分代謝が悪く、体内に重くベタついた『水』が滞っている『水滞』の状態では、胃腸が弱っている場合が多く、体がだるく浮腫みやすい、軟便で下痢ぎみ、肌のトラブル、汗をかきやすいなどの症状が出やすくなります。
大根は、弱った胃腸をしっかりと整えるのに有効な食材です。
大根の旬
大根は、だいたい11月~3月ごろが旬になります。
旬の時期の大根は寒さに耐えるため、糖度を蓄え甘味が強くなりますが、春から夏にかけて出回る大根は辛味が強く、まだ硬さもあります。
陰の気が満ちる冬の季節は寒暖差によって自律神経が乱れ、食欲不振、倦怠感、不眠、疲れが取れないなどの症状が現れます。
冷え体質の人には辛いこの時期に『気』を巡らせ、冷えを改善し、肌トラブルから守ってくれる大根は嬉しい食材です。
この時期に旬を迎える大根は、『辛味』と『甘味』の要素を持っており気の巡りを良くして消化不良を改善し、胃腸の調子を整えてくれます。
大根の効能
- 『美肌のビタミン』と呼ばれるビタミンCが豊富で若々しい肌を保つ効果が期待できます。
- 胃痛、胃もたれ、二日酔い、胃酸過多、食中毒などに効果があり、消化を促進します。
- 血圧の上昇を抑え、気管支炎やがんの予防効果が期待できます。
- 大根の辛味成分は健胃作用があり、お通じを良くし、胃液の分泌を活発にして発がん物質を無毒化すると言われています。
- 風邪や気管支炎の予防や咳を止め、喉の痛みを改善し、痰を外に出してくれる働きがあります。
- 免疫力を高め、体内に入ってくる細菌やウィルスを抑制するほか、貧血の改善に役立ちます。
- 生活習慣病の予防と改善に効果があります。
- 大根は熱を冷ます作用が高いため、おろし汁で口をすすぐと口内炎などに効果があるとされています。
美味しい大根の選び方
- 皮に張りがあり、ずっしりと重く、白くツヤのあるものが新鮮です。
- 太くて真っ直ぐ伸びていて、硬さがあり、ひげ根が白く少ないものが望ましいです。
- 葉が付いているものは、葉がシャキッとして生き生きとしているもの。葉と根の境目の部分が黒ずんでいないものが良品です。
- カットした状態で店頭に並んでいるものは、切り口がみずみずしく「す」が入っていないものが新鮮です。
大根の扱い方
- 一般的に大根はピーラーを使って皮を剥きますが、皮の部分は繊維が多く、煮ても柔らかくならないので、煮物にするときは、包丁を使って厚く剥きます。
- 輪切りにした大根の断面を見ると、周りがうっすらと白く見えます。そこを目安に5mmくらいの厚さに剥いていきます。
- 一本の大根で、部位により味わいが違います。葉に近い上の部分は最も甘みがあり水分も多く、サラダやマリネ、大根おろしなど生食向きです。
- 中間の部分は辛味と甘味のバランスが良く、加熱するとよく味が染み込み、柔らかく綺麗に仕上がるのでおでんやふろふき大根など煮物料理に向いています。
- 下の部分は辛味が強く、水分が少ないので少し筋っぽく、辛味の効いた大根おろしや漬物などに向いています。
大根調理のポイント
- 天日で干した切り干し大根やハリハリ漬けなどは強力な保温効果があるので、胃や体が冷えているときは、加熱した大根や切り干し大根などを食べると良いです。
- 大根に含まれる消化酵素は熱に弱く、ビタミンCは水に溶けやすいという性質があるので、茹でるなど熱を加えると栄養素が損失してしまいます。そのため大根おろしやサラダなど、生で食べるのが栄養を摂るには効率的です。
- 大根の皮にもビタミンCなど栄養素が豊富に含まれています。良く洗って皮ごと使うのがおすすめです。
- 茹でるとき、生米を少量入れるか、米のとぎ汁で茹でると、アクや苦味を取り除き、甘味の増した大根に仕上がります。
おすすめ陰陽大根のレシピ
陰性体質の人におすすめのレシピ
[大根のそぼろあん]
材料(2人分)
大根 ・・・・・1/2本
万能ねぎ ・・・適量
鶏ひき肉・・・・100g
水溶き片栗粉・・適量
【A】
水・・・・・・・200cc
酒・・・・・・・大さじ1
醤油・・・・・・大さじ1と1/2
みりん・・・・・大さじ1
砂糖・・・・・・小さじ2
和風顆粒だし・・5g
下ごしらえ
- 大根は3cm幅の輪切り。面取りをして、片面に十字に隠し包丁を入れる。
- 万能ねぎは小口切り。
作り方
- 鍋で大根を7分ほど下茹でする。
- お湯を捨て、【A】と鶏ひき肉、大根を入れ、大根に火が通るまで20分ほど茹でる。
- 水溶き片栗粉でとろみをつけて器に盛り付ける。
- 万能ねぎを散らして出来上がり。
陽性体質の人におすすめのレシピ
[大根と水菜のサラダ]
材料(2人分)
大根・・・・・・・1/4本
貝割れ大根・・・・1/2パック
水菜・・・・・・・1/2束
ツナ缶・・・・・・1缶
かつお節・・・・・適量
【A】
マヨネーズ・・・・大さじ3
ポン酢・・・・・・大さじ2
下ごしらえ
- 大根は千切り。
- 貝割れ大根は根を切り落として、水にさらす。
- 水菜は洗って一口大にカット。
- ツナ缶は油をきってよく絞る。
- 【A】を混ぜ合わせる。
作り方
- 大根、貝割れ大根、水菜、ツナ缶を全て混ぜ合わせて、ボールに入れ【A】を加えてざっくりと混ぜ合わせたら器に盛る。
- かつお節をふりかけて出来上がり。
大根の保存方法
葉が付いたまま保存すると、葉に栄養分を取られるので根と葉を切り分けて保存します。
冷蔵保存の場合
- ペーパータオルや新聞紙などで包み、ビニール袋に入れ冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。
- 2週間ほど保存可能です。
- カットされて売られているものは、切り口をしっかりとラップで包み野菜室に保存します。
- 2週間ほど保存可能です。
- 大根の葉は小さめにカットして、サッと茹でるか塩もみしてから小分けに して保存袋に入れて保存します。
- 冷蔵の場合は2日ほど、冷凍の場合は1ヶ月ほど保存可能です。
冷凍保存の場合
- 薄めのいちょう切りや短冊にカットして、硬めに茹でて冷凍用保存袋に入れ冷凍庫に保存します。
- 1ヶ月ほど保存可能です。
- 大根おろしにしてかるく水気をきり、冷凍用保存袋に平らにして入れ、冷凍庫に保存します。
- 1ヶ月ほど保存可能です。
干して保存する
- 千切り、拍子切りなど料理に合わせてカットし、ザルに広げて2日ほど干します。
- 葉や皮もザルに並べて2日ほど干します。
- 1ヶ月ほど保存可能です。